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「忘却のアイズオルガン 2(ガガガ文庫) / 宮野美嘉」感想・レビュー

個人評価:★★★☆☆

悪魔が人類の隣人であった時代。ダヤンは、自身が屍人形としてしまった少女・アリアを生き返らせるため、記憶を失った彼女と悪魔退治の旅を続けていた。訪れたのは教会の厳しい戒律により、魔術師である親が処刑され、孤児となった子供が『悪魔の子』と罵られる歪な街。街の教会では奇妙な毒が蔓延する事件が起き、いっそう魔術師に対する目は厳しい。そんな中で、ダヤンたちは北国最強と謳われる異端審問官に目を付けられてしまうのだが…。悪魔喰いの魔術師と哀れな屍人形の旅。忘却の狭間に惑う、魂と契約の物語第二集。

 魔術師というだけで投獄され火炙りにされる典型的な魔術師淘汰主義の国であるフラウフェン。オスカーがいるとの情報からその北国を訪れたダヤンとアリアが異端審問官と教会を巡ったトラブルを起こし、巻き込まれていく今巻。

 前巻からですがダヤンとアリアの関係性、そしてダヤンの歪んだ優しさこそがやはりこの作品の魅力だと感じました。歪んだ優しさと愛の形、そしてその振る舞いは理解されないけれど、だからこそ狂気的にも感じるダヤンの信念は読者を虜にします。

 各キャラクターの立場を活かした展開は丁寧でとても面白いのですが、地の文が少し出来事を羅列しているだけな("○○した。○○した。そして○○した。"のような)雰囲気があり若干単調に感じられたのが残念。

 ゲストキャラっぽかったクロノアですがそのどこまでも真っ直ぐな生き様が非常に好感を持てました。一応布石のようなものは描かれているので今後また登場してくれるのを楽しみにしたいです。