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「弱キャラ友崎くん Lv.5 (ガガガ文庫) / 屋久ユウキ」感想・レビュー

個人評価:★★★★★

教室での一件を受けて、まさかの師弟関係と相成った俺とたまちゃん。表情、姿勢、喋り方。俺は師匠として、自分が『リア充』になるために重ねてきた努力とノウハウを、たまちゃんに伝えていく。一方、日南は日南で、裏でなにやら動いていて―。相反する考え方で問題に向き合う俺たちは、やっぱり協力はできない。でも、『大切な目的のためなら、自分を曲げるのも辞さない』こと。この戦い方はきっと、俺が誰かさんに教えてもらったことなのだ。このライトノベルがすごい!2017新作ベスト3!新作ラノベ総選挙2017第2位!―大人気人生攻略ラブコメ、待望の第5弾!

 前回の話を受け解決へと向かう第5巻。4巻の引きが引きだったため本当に待ち遠しかったですね。

 たまちゃんの問題を軸に展開していきますが、問題に対しての分析、提案といったアプローチにゲーマー的視点がしっかりと織り交ぜられていて、この作品ならではの魅力がしっかり詰まっていました。

 問題解決の中心となるのは友崎、水沢、たまちゃんのチーム友崎。解決への手法のいくつかは今までと同じことをしているのですが、日南→友崎ではなく友崎→たまちゃんであることの「教わる」「教える」の変化、更に水沢の視点も絡むことにより新鮮さを味わいつつより深く理解するとができます。友崎の成長により変わっていく世界を読者も共に感じられるのはゲーム的な側面とも言え、普段のラノベとはまた違った面白さとしても感じられるかもしれません。

 ゲーム的な面を活かした作品の良さは勿論、特に今巻は信念や生き方を扱った青春学園モノとしても申し分ない出来だったと感じます。それぞれのキャラクターの個性を丁寧に表現し、相乗することで生まれるアイデア。そしてややありがちな「勇気を持って一歩踏み出すことで殻を破り進むことができる」という表現にここまで強く胸を打たれる作品もそうそうありません。そして変わりつつも変わらないたまちゃん、好きすぎ…。

 3巻の感想(この時は読書メーターでしたが)でも書いていたのですが「菊池さんとリア充グループの話が独立しすぎている」と感じていたので今回の菊池さんを絡めた展開はもう本当に素晴らしかったです。友崎が菊池さんを思い浮かべたシーンで一緒に菊池さんを思い浮かべ、ページを捲った瞬間に菊池さん~~~となってしましました。菊池さん、何もかもとんでもなさすぎて本当に天使なのかもしれません。

 露骨に次の展開への布石となっている日南、要所に軽い伏線としての発言を絡ませてる水沢と、これからは1つ1つの問題ではなく作品全体として大きく物語が動きそうですね。コミカライズ化も決定しており、メディアミックス含め今後もとても楽しみです。