ふるめも

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「賭博師は祈らない(3)(電撃文庫) / 周藤蓮」感想・レビュー

個人評価:★★★★★

ノーマンズランドでの負傷も癒え、ようやく当初の目的地バースにやってきたラザルスとリーラ。村から付いてきた地主のエディスとメイドのフィリーも道連れに、気侭で怠惰な観光を洒落込むつもりだったが、一つ誤算があった。温泉とギャンブルが名物のこの街で目下勃発しているのは、賭博を司る儀典長と副儀典長による熾烈な権力争い。バースへの道中で出会った知人からは忠告を受けるも、時すでに遅し。温泉から宿に戻ってみると、部屋には荒らされた形跡。そして一人横たわる血まみれの少女。面倒事の匂いに辟易としながらもラザルスは彼女を保護する。それは、陰謀張り巡らされたバースにおける長い戦いの幕開けであった。

 当初の目的地であるバースに辿り着いたラザルス一行。そこで起きている権力争い、そして儀典長ウェブスターと副儀典長ナッシュの陰謀に巻き込まれていく今巻。

 "どうでもいい"ラザルスがこの街の争いに手を出さざるを得なかった状況や儀典長と副儀典長を取り巻く勢力図、それぞれの状況における各人の心象が分かりやすく、やや重めの話でありつつも展開が理解しやすく読みやすかったです。

 そして今回のテーマとなっていたのは愛の形。ジュリアナという独特な感性を持ったキャラクターを交えることで奴隷としてのリーラの現状、そしてラザルスとリーラが感じる関係性の変化と今後の立場について掘り下げられる回となっていました。賭博での熱い駆け引き描写は今巻も勿論健在で読み応えのある一冊でした。

 以前と比べ判断基準や価値観の変化を感じているラザルス。賭博師として、1人の人間としてどう進んでいくか今後の展開も楽しみです。どうでも良いですが肩を竦めたって表現が使われすぎって感じでしたね。