ふるめも

アニメ、アニソン、ラノベ、イベントなどの感想、レビュー的なもの。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」1話感想・考察

 ついに放送が始まりましたヴァイオレット・エヴァーガーデン。モチベーションが高すぎるしちまちま書いていきたいと思います。

 1,2話を見て感じた作品の大まかな感想は先行上映会の際に書いているので良ければそちらも。

fullmemo.hatenablog.com

 それでは1話を振り返っていきたいと思いますが相変わらず原作は未読のためご了承を。基本的に1話を既に見た人に向けて一緒に振り返っていくような内容です。

第1話 「愛してる」と自動手記人形

脚本:吉田玲子
絵コンテ:石立太一
演出:石立太一、藤田春香、澤真平
作画監督:丸木宣明、高瀬亜貴子、明見裕子、丸子達就

アバン

f:id:ll_mfu_ll:20180115195744j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115195747j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115195748j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 1話のアバンということで作品の世界観を表すような描写がメインですね。

 作品のキーとなるエメラルドのブローチ、そしてヴァイオレットがギルベルトに抱く言い表せない感情に胸を締め付けられる様子が描かれています。

f:id:ll_mfu_ll:20180115200125j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115200127j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115200129j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115200350j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115200352j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 手紙は飛んでいきがち。舞台となる街と物語の始まりを感じさせ、その美しさに引き込まれます。複葉機や蒸気船などで技術発展の水準を表していますが参考程度ですかね。

 そしてタイトルロゴがドーン。ここに合わせて劇伴にタイプライターで文字を打ち込むような音が乗せられていてとても良かったです。

f:id:ll_mfu_ll:20180115201018j:plain

©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

Aパート

病院でのホッジンズ
f:id:ll_mfu_ll:20180115203740j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115203742j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 ヴァイオレットにギルベルトのことを問われ「アイツに頼まれてきた」と微妙に会話を噛み合わせずその後も誤魔化すホッジンズ。その際ポケットに手を入れ、その中で強く握りしめている描写がありました。手元がアップで映されていて分かりやすかったですが癖のようなものかもしれないので今後ホッジンズの真意が理解しにくい描写の時に参考になるかもしれません。

ブローチとどんぐり
f:id:ll_mfu_ll:20180115204342j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115204345j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 退院後荷物を受け取ったヴァイオレットですがブローチが無くなっています。そしてそのブローチを入れていたものと思われる容器にどんぐりが入れられていました。どんぐりが入っている理由がイマイチ分からないですが元々入っていた場合には、

・スペースを埋めるため
・緊急の食用
・ヴァイオレットにSF的な能力がありどんぐりがトリガーとなる
・生まれ故郷の名産地や両親との思い出等ヴァイオレットにとって大切なものでブローチと一緒に入れていた

辺りでしょうか。全く分からないしアホな発想しか出てこないし考えるのが厳しいです。他には現場に落ちていたブローチを何者かが持っていった(盗んだ)際に重さや音を考慮して詰め込んだとか考えられなくもないですがとにかく分かりません。

 どんぐりに関して色々調べてみても全然有益な情報が見つからないし何か意見があったらお待ちしています。

子犬のぬいぐるみ
f:id:ll_mfu_ll:20180115210557j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115210559j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 退院祝いということでホッジンズから子犬を受け取ったヴァイオレット。ここでぬいぐるみに対して頬ずり、噛み付くという行動を取っています。

 義手で分からないであろう感触を確かめるための行動であると考えられますが、それにしても噛むのはやりすぎですね。自分自身を(ギルベルトの)犬として思い返しているのか噛み癖があるか気になるところです。

 またこの自動車のシーンでは劇伴がありません。物語序盤の会話劇に集中させることでヴァイオレット、ギルベルト、ホッジンズの関係性や立場、印象を感じ取りやすくことに加え車の駆動音を際立たせその音から察せる舗装されていない道の様子、戦争の惨禍を強調していたように感じられます。

エヴァーガーデン家
f:id:ll_mfu_ll:20180115213210j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115213213j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 ここで義手だと判明しティファニーから手袋をプレゼントされます。この手袋をつける際に口で引っ張っていますね。義手に不慣れなことやティーカップを落とした描写から単純に力が入れにくいとも考えますがぬいぐるみの描写もありやはり何かと口を使う癖があるのでしょうか。

 ホッジンズが退室すると言ったタイミングからクラリネットのメロディが入る劇伴では不穏な雰囲気を表現しヴァイオレットの不安を煽っています。ヴァイオレットが「まだ戦えます!」と想いをぶつける部分に向けて弦、金管、打楽器と厚みを増していきその後のホッジンズの「戦争は終わったんだ」の後はピアノだけでメロディラインを引き継ぐ構成となっていて、ヴァイオレットの感情の動き(厳密には感情が無いということなので会話内での立場的な意味合い)と非常にリンクしていました

f:id:ll_mfu_ll:20180115220959j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180115221002j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

Bパート

C.H郵便社
f:id:ll_mfu_ll:20180116100448j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116100450j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116100452j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116100535j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 物語の舞台となるC.H郵便社へと案内されるヴァイオレット。自分の価値を見失ったヴァイオレットにホッジンズは「まだ役に立つ、働ける」と伝えます。どうでも良いんですがこの制服考えたのってホッジンズなんですかね…。

ベネディクトと郵便社での一日
f:id:ll_mfu_ll:20180116102221j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116102223j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116102225j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116102228j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116103822j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 ベネディクト、イケメンすぎるしホッジンズへの態度からすぐにキャラ付けが分かるようになっていて良いですね。ホッジンズとは会社を作る前からの腐れ縁ということで元軍人でしょうか。ホッジンズへの態度を考えると階級を強く意識しすぎる立場では無かった模様なので直属の部下として親しくしていたか、少し考えにくいですが超エリートで士官学校時代の知人であった可能性もありますね。勿論軍人ではなく家系等での繋がりがあったとも考えられるので軽く気にしながら見ていきたいです。ちなみにここでもヴァイオレットは手袋を外す際に口を使っています。

 そして郵便社で1日を送るヴァイオレット。郵便物を仕分けている描写そのものはあまりありませんでしたがタイムラプスにて時間の経過を表す描写がしっかりあって良いですね(gifを撮る環境が無いので静止画を貼ってしまいますが)。

 またこのパートではこれまでと違いアップテンポで細かい音符の多い劇伴となっていてヴァイオレットに戦争以外の新しいことがなだれ込んでくる様子、そして平和になった日常を表す陽気な雰囲気が感じ取れます。途中にあるヴァイオリンとオーボエの横に流れるメロディが夕焼けととてもマッチしていました。

f:id:ll_mfu_ll:20180116105414j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116105417j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ヴァイオレット、ホッジンズ、ベネディクトでの夕食
f:id:ll_mfu_ll:20180116110545j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116110549j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116110552j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116112607j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 ベネディクトはヴァイオレットに「じゃあ、今度は配達行ってみるか」としか伝えていないので配達を始めてしまう気持ちも何となく分からなくはないですね。そして「食べていいよ」と言われるまで食事を開始しないヴァイオレット。軍人時代を考慮しても命令されるまで食事を開始しないというのは少し特殊な気がし、その歪な過去とギルベルトへの依存度を感じさせられます。

 また義手に慣れていなく力が入らないと思われる描写がここでもあり、魚を切る際にナイフが上手く入っていかない様子が描かれています。

「燃え上がっていることをまだ知らない」
f:id:ll_mfu_ll:20180116181320j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116181323j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 夕食後ヴァイオレットを送るタイミングでホッジンズとの会話劇。

「学ばないほうが、知らないほうが楽に生きられるのかもしれない」
「自分がしてきたことでどんどん体に火がついて燃え上がっていることをまだ知らない」
「いつか、俺が言ったことが分かる時がくる。そして初めて自分がたくさん火傷していることに気付くんだ」

と今のヴァイオレットが今後どうなっていくかというようなことを伝えているのですが、現状すら理解できていないヴァイオレットにこの言葉自体は伝えたところで何の意味もないんですよね。

 ではこの描写が意味しているのは何かというとホッジンズなりのヴァイオレットと向き合っていく覚悟のようなものを表しているのだと感じます。「ギルベルトに君を託された時、これは俺の機会だと思った」と述べている通りヴァイオレットを託されたホッジンズ。ヴァイオレットが戦争とは無縁な日常生活を送る事で知っていく当たり前と過去の自分の人間としての壊れ具合は本当に知らない方が良いかもしれないし辛いものでもあるだろうけれど、それと向き合わせる道を選んだことを本人に言い聞かせることで自分の中で再度決意を固めているように思えました。

自動手記人形と「愛してる」を知る物語の始まり
f:id:ll_mfu_ll:20180116191008j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116191012j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116192410j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116192233j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116192237j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 翌日現れた代筆の依頼者。その文章に自分の境遇を重ねるヴァイオレットは「愛してる」を知るため自動手記人形として働くことを決意します。ギルベルトの命令に従っていたヴァイオレットがギルベルトの言葉をきっかけに初めて自分の意志を主張する流れは非常に分かりやすく、綺麗な物語の立ち上がりとなりました。

 ヴァイオレットの「愛してるを、知りたいのです」に合わせてファンファーレ調の劇伴が流れ始めるのは見事としか言いようがなく、自動手記人形としてのヴァイオレットの始まりと今後の成長への期待に胸をいっぱいにさせられます。

f:id:ll_mfu_ll:20180116193614j:plain
f:id:ll_mfu_ll:20180116193618j:plain
©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 そして最後にギルベルトとの過去のカット。これまでの流れもありギルベルトは死んでいそうなところですがここまで分かりやすいとミスリードな気もしてきますね。ヴァイオレットはヴァイオレットで両腕失っていて出血ヤバそうですが生き延びています。

 また、ここでギルベルトを口で引っ張っている様子があります。第1話で噛み癖と思われているものにギルベルトへの想いが繋がっているのか単純に義手に慣れるまで口を使って生活していることが多かったからなのかはどちらとも捉えられる気がしますね。

f:id:ll_mfu_ll:20180116194012j:plain

©暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

まとめ

 第1話ということで自動手記人形として成長する物語のプロローグとなるような話でした。ヴァイオレットとホッジンズを軸に"心をを持たない道具"と言われたヴァイオレットの現状と新しい生活を始めていく様子が描かれていましたね。

 基本的な設定と予想される展開は所謂王道と言われるものですが、だからこそ各キャラクターの個性信念自動手記人形という特殊な職業を通して伝える感情や言葉の大切さに強く惹かれるものがあるのだと感じます。オムニバス形式になるらしいですが今後のヴァイオレットの自動手記人形として、人としての成長が楽しみです。

 

fullmemo.hatenablog.com

fullmemo.hatenablog.com