ふるめも

アニメ、アニソン、ラノベ、イベントなどの感想、レビュー的なもの。

「やがて恋するヴィヴィ・レイン 5(ガガガ文庫) / 犬村小六」感想・レビュー

個人評価:★★★★★

「何百万人死傷しようがかまわない。おれはファニアのために世界を焼く」。史上最大の軍勢を率い、すさまじい勢いで進撃するルカはいつしか「災厄の魔王」と呼ばれ、世界そのものを敵に回していた。自由と平等を否定し、武力による変革を断行するルカに、ルナ・シエラ共和国第二執政カミーユは反旗を翻すことを決断する。一方、限られた生命を生きるアステルには「そのとき」が迫り―「あの歌が、あたしがあんたのそばにいるって教えてくれるよ」。いよいよ舞台が大きく動き出す激動と感動、恋と会戦の物語、第五巻…!

 ファニアを取り戻すため、そしてグレイスランド統一するため「災厄の魔王」ことルカが凄まじい進撃をする第5巻。ジェミニ率いる帝国軍との激戦がメインですが怒涛の展開でした。

 ルカだけでなくガヴーやメルヴィル、ミズキにアステルといった登場人物全員が死に物狂いで各々の信念を貫いていく戦時の描写は相変わらず素晴らしく、その熱さに胸を打たれます。その熱さに水を指すような科学力の差による物語の展開は確かにやるせなく、読者としても悔しい気持ちになります。しかし主人公サイドが盛り上がりそのエネルギーだけで物語を切り開いていける訳ではない展開こそがこの作品の魅力であり、戦記ファンタジーとして他作品の追随を許していない部分にもなっていると感じます。

 ついに明らかになったヴィヴィレインの正体、そしてグレイスランドだけでなく三界をも巻き込んでいく今後の展開は本当に楽しみすぎます。

 

 ところでファニアが若干誓約のミオっぽさが出てきて良いぞ良いぞ~となってしまいましたね。前巻で作者がファニア好きと言っていたのに対し「本当か?w」と思っていましたがなかなか好みの展開になってきてもう本当に最高です。