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「詩葉さんは別ノ詩を詠みはじめる(ファミ通文庫) / 樫田レオ」感想・レビュー

ファミ通文庫ネクスト。

8月刊行なのでだいぶ経ってしまいましたが書いていきます。

個人評価:★★★☆☆

大切な想いや言葉が形となった“迷い言”が視える藍川啓人は、数年前の事故で亡くした幼馴染、高森閑香の“迷い言”に出会う。事故の時、助けられず後悔していた啓人は、彼女の本当の想いを知るため“迷い言”の声を聞くことができる“伝え人”、梅ヶ枝詩葉の元へ連れて行くことに。そして詩葉の力を借りて、閑香が伝えられなかった最期の言葉を聞こうとするのだが―。大切な人への想いを巡る、切なくて暖かく、そして少しほろ苦い感動の青春ストーリー。

 「リトルバスターズ」や「Angel Beats!(ゲーム版)」のシナリオに参加している樫田レオライトノベルデビュー作。

 ラノベではないですがやはり経験があるからか、構成が非常にうまかったと感じます。起承転結がしっかりしていて、また承と転にあたる中盤の展開に非常にウェイトを置いていることで物語全体がボリューミーになっていて満足度が高かったです。

 死者の伝えられなかった想い、言葉が形になった<迷い言(まいご)>とそれを伝える<伝え人>という設定をはじめとして、言葉の大切さを伝える物語全体が彩る神秘な世界観はとても引き込まれるものがありました。

 短歌や和歌の引用が多いことも世界観を魅力づける一因になっていたと感じますが、そのために作品自体のメッセージ性が少し弱くなり特に終盤での落ち方があっさりしていた印象。中盤は丁寧に物語が膨らんでいったので何となく惜しかった気がしますが綺麗にまとまっているのでまあ悪くはないです。

 1巻では処理しきれなかった設定やキャラクターが多く、続刊が出るようなら楽しみにしたいですね。